2024年秋のメインレースは11月24日のつくばマラソン。目標タイムは3時間50分。これを目指しどのような練習をしたのか。春のびわ湖マラソンで5時間以上かかったランナーが、どのようなアプローチをしたのか。これを練習日誌という形で備忘録として残し、最後に簡単に完走記を付しておく。

6月23日(日)20:00エントリー。
つくばマラソンは人気大会のため、GPSウォッチを見て20:00になった瞬間にエントリーする。少しでも遅れると定員に達してしまう。

7月14日(日)市河麻由美さんのピラティス講習を受ける。
びわ湖マラソン前から腰痛に悩まされていたので試しに受けてみた。ごく簡単な体操で、こんなことで治るなら苦労はいらないと感じた。しかしだまされたと思って続けてみて、なんと治すことができたのである。8月の終わりごろには腰痛の心配はなくなった。講習の内容は別の記事に記載したので、興味がある方は「市河麻由美さんに教わったこと」をご参照願う。「ランニングフォーム以前に、日常の姿勢が大切」なのである。

8月31日(土)本命レースをつくばマラソンに決め、テーマソングはYOASOBIの「舞台に立って」にする。
つくばのスタートラインに立ったとき、「大きく吸った息を吐いて、静かに目線をあげよう」と志す。

9月8日(日)駒沢陸上競技場で1500mと5000mのトラックレースがあり、この日までは短い距離の練習をしていた。小規模で未公認の大会ではあるが、1500mは6分22秒で年代別5位、5000mは23分31秒で年代別で3位入賞した。この5kmのタイムをもとにダニエルズの計算式にあてはめると、VDOT41.2フルマラソン3時間44分16秒(5’19″/km)となる。であれば目標がサブ4ではつまらないので、可能性が充分ある3時間50分切りを目指すことにした。

 新型コロナウイルス感染拡大直前までは3時間40分台で走れていた。しかしコロナ禍で相次いで大会が中止になり、フルマラソン用の練習をしなくなった。そして大会が再開されてもサブ4で走れないことも多くなった。年齢的にも(つくば当日で66歳2か月)この先3時間40分台で走れなくなる可能性が高い。今年がラストチャンスかもしれないと思った。

 ここから2か月半ほどフルマラソンをターゲットにした練習に移る。途中に横浜マラソンがある。これはタイムを求めるものではなくつくば4週間前の40km走という位置づけである。私は50年以上DeNAベイスターズのファンである。横浜マラソンを完走しその足で横浜スタジアムへ行き、日本シリーズを観戦するのが夢だ。そのため横浜マラソンはセントラルリーグの本拠地で日本シリーズが開催される年だけ参加している。

 私の仕事は自営業なので、平日の練習は基本的に17時に仕事を終えてすぐに走りに行き、帰宅して入浴し夕食となる。土日は日中に走る。練習場所は大田区の多摩川河川敷サイクリングコース(自宅からコースまで400m)、川崎市の多摩川ランニングコース(コースまで1km)、大田区の六郷グラウンド400mトラック(ダート、自宅から2km)、川崎市の古市場グラウンド400mトラック(ダート、自宅から2km)、坂ダッシュは多摩川大橋のスロープ(自宅から500m)であり、ランナーにとっては恵まれていると思う。

9月9日(月) トラック5周サブ4ペース、ジョグ3.9km
 10日(火) ウォーキング8km
 11日(水) ジョグ5.3km、400m×1 1’40”
 12日(木) ペース走10km54’56″、ジョグ4.5km
 13日(金) ウォーキング4.4km
 14日(土) ジョグ20km 2:13’11”
 15日(日) ジョグ15km 1:43’31”
サブ4ペースを思い出すための10km。週末はまだ暑いので、ゆっくりと長めに走り始めた。

9月16日(月・祝) インターバル(400+200)×10 疾走1’50″ レスト1’30″、ジョグ4.3km
 17日(火) 休み
 18日(水) ペース走10km56’10″、ジョグ3.5km
 19日(木) ジョグ2.3km
 20日(金) 休み
 21日(土) LSD24km2:47’00”
 22日(日) 休み
10kmのレースペース走、インターバル、LSDを組み合わせて練習した。

9月23日(月・祝) ジョグ6.7km
 24日(火・仕事休み) ペース走15km1:22’25″、ジョグ3.4km
 25日(水) ジョグ6.7km
 26日(木) ペース走13km1:17’43″、ジョグ2.7km
 27日(金) ペース走5km27’40”
 28日(土) ウォーキング大会20.2km
 29日(日) ペース走30km2:54’30”
9月中に一度30km走り体をフルマラソンモードにするように計画して実行した。

9月30日(月) 休み(左足が少し痛む)
10月1日(火) 休み
  2日(水) トラックでスピードを出し200m×3+100m×4、
        ペース走5km27’06″、ジョグ9km
  3日(木) トラックで1km5’23″、ジョグ6.4km
  4日(金) ペース走5km27’46″、ジョグ8.1km
  5日(土) 休み
  6日(日) 多摩川クラブ練習会 ペース走24km2:28’39”
30km走で少し左足が痛いので2日間休む。
10月からクラブのペース走練習会が日曜日に開催されるので参加した。

10月7日(月) 休み
  8日(火) 休み
  9日(水) ジョグ9km
  10日(木・仕事休み) インターバル(1000+200)×6+400
             疾走4’45″ レスト1’30″、最後の400m1’40”
             インターバル後ジョグ10.5km1:14’10”
  11日(金) ジョグ5.6km
  12日(土) トラック5周2km10’25”
  13日(日) 多摩川クラブ練習会 ペース走20km1:58’59”
少し疲れ気味のため週の初め2日間休む。

10月14日(月・祝) ロング走20km2:09’24”
  15日(火) 坂ダッシュ(約100m)10本、ジョグ3km
  16日(水) ジョグ7kmのあとビルドアップ4km(5’29”,5’21”,5’18”,4’49″)
  17日(木) 休み
  18日(金) 休み
  19日(土) 休み
  20日(日) 多摩川クラブ練習会 ペース走8km45’10″、ジョグ4km
連日ベイスターズクライマックスシリーズのパブリックビューイングに行き練習時間取れず。

10月21日(月) ジョグ6.5km、DeNAベイスターズ日本シリーズ進出決定!!!
  22日(火) レースペース確認走3km(5’31”,5’34”,5’35″)+2km(5’40”,5’36″)
        ジョグ2km
  23日(水) 休み
  24日(木) 坂ダッシュ5本、ジョグ2.8km
  25日(金) レースペース確認走200m×2(1’09”,1’08″)、ジョグ1.8km
  26日(土) レースペース確認走400m×2(2’04”,2’07″)、200m1’02″、ジョグ1.3km
  27日(日) 横浜マラソン42.195km4:18’16”

 横浜マラソン当日は暑く、28kmまでサブ4ペースを維持したが、一度とまったあとは元のスピードに戻せず、あくまでメインはつくばだからと自分に言い訳して、残りは無理せずに完走だけを目指した。横浜マラソンを走ったその足で日本シリーズが開催される横浜スタジアムへ行くところまで夢は実現したが、チケットが買えなかったので、スタジアム場外での試合前イベントだけ見て帰宅した。

10月28日(月) 休み
  29日(火) 休み
  30日(水) ウォーキング4km
  31日(木) ウォーキング7km
11月1日(金) ウォーキング7km
  2日(土) ジョグ6km
  3日(日) ジョグ10km DeNAベイスターズ日本シリーズ制覇!!!
横浜マラソンのダメージが想定以上に大きくこの週は回復に努め、日本シリーズTV応援に集中した。

11月4日(月・祝) ジョグ12.3km
  5日(火) 休み
  6日(水) 坂ダッシュ5本、400m2’01”(刺激入れ)、ジョグ2.2km
  7日(木) 休み
  8日(金) ペース走5km26’12″、ジョグ2.4km
  9日(土) ウォーキング13.8km
  10日(日) 多摩川クラブ練習会 ペース走20km1:53’06”
長い距離を走るのはここまで。以後はピーキングに入る。

11月11日(月) レースペース確認走3km(5’27”,5’26”,5’11″)、ジョグ3.3km
  12日(火) 休み(軽い腰痛あり)
  13日(水) 休み
  14日(木) ペース走10km54’21″、ジョグ3km
  15日(金) ジョグ4.3km
  16日(土) 休み
  17日(日) トラックでペース走5km26’35″、ジョグ3.3km
レースペースの5’27″/kmを意識して練習する。

11月18日(月) ウォーキング4.5km
  19日(火) トラックでレースペース確認走2km10’53″、ジョグ5.7km
  20日(水) 休み
  21日(木) 坂ダッシュ3本(刺激入れ)、ジョグ5km
  22日(金) ジョグ5.2km
  23日(土) ウォーキング2km、つくば前泊
  24日(日) つくばマラソン
走りながらラップタイム表を確認する練習もした。

 つくばマラソンで、フルマラソン完走は73回目となった。何度もフルマラソンに出場するうちに、レース前の調整方法が自分なりに決まってきた。私の特徴は次のようなものである。

1.30km走
 本番と同じペースでの30kmペース走はしない。(いまだかつてしたことがない)
 本番と同じペースなら20km程度まで、30km以上走るなら本番より遅いペースでペース走をする。
  理由:本番と同じペースで30kmも走ってしまったら、疲れてしまうから。

2.スピード練習
 2週間前ぐらいまではトラックでインターバルトレーニングをするが、それ以降はしない。
 レースが近づいた時の刺激入れは、坂ダッシュとごく短い距離や少ない本数でスピードを出して走る。
  理由:インターバルを頑張ると故障のリスクがあるので
     直近は避ける。
     心肺機能は直前でも向上するので、故障のリスクの
     少ない坂ダッシュなどをする。

3.ペース走
 レースが近づいたら、距離が正確にわかる場所で本番と同じペースで5~10km程度のペース走をする。
 可能であれば、レース当日と同じ時間に起き、スタート時間に合わせて走ることもする。
  理由:レース前ぐらい朝型にする。私は夜型でスタート整列後に眠くなってしまうこともあるため。

4.テーマソング(イメージトレーニング)
 私はテーマを決めてレースに臨むことも多い。今回は「舞台に立って」
 「舞台に立って」の公式PVは練習を河川敷で行い、待ちに待った舞台は筑波大学のトラックと同じ色の陸上トラックになる。自分はオリンピック選手ではないけど、つくばマラソンが自分の待ちに待った舞台なんだと思って練習した。立体交差の坂を駆け下り筑波大学の構内に入り、最後に銀杏並木を抜けて左に曲がってトラックでフィニッシュする自分を何度も何度もイメージして練習した。

 またこの曲のテンポは182bpmである。私はジョグのとき170~175spm、レースでは185~190spmぐらいで走る。つくばに向けてのつなぎジョグでは、曲に合わせていつもより速い182spmで走ることもした。こうすると、だらだら走れないという効果があった。

 マラソン仲間からは、なぜ本番ペースで30km走をしないのか、しなくて不安にならないのかとよく言われる。でもマラソンは30kmまではウォーミングアップで30km地点がスタートといわれている。本番ペースの30km走はウォーミングアップのリハーサルでしかない。だから私はやらない。もちろんスピード持久力は必要なので、距離を踏むことやレーススピードで走る練習は取り入れている。

 2週間前からは、「これしか走らないの?」と言われそうな練習量だ。これには意味がある。「走った距離は裏切らない」は真実だと思う。でもそれはオリンピックで金メダルを取った選手のセリフだ。サブ3を目指すならともかく、私のレベルでは往々にして「(直前に)走りすぎた距離に裏切られる」のである。


 さてこうして臨んだつくばマラソン。会場にはつくば駅から歩く。何度も何度も「舞台に立って」を聞きながら歩き、早めに到着した。着替えてランニングクラブの仲間たちと記念撮影をしてから人工芝のサッカー場に設定された荷物預かり場所に行く。


 荷物を置いて、あの日市河麻由美さんに教わったようにサッカーのゴールポストに両手をつき両足を伸ばす。そして左かかとをつけたまま右足を前に出すのを10回、左足も10回前に出す。膝は上ではなく前に出すようにする。私の準備運動は股関節を回す、足を前後に降る、首と肩甲骨を回すというようなものだが、市河さん指導のものも追加した。

 スタートラインに並ぶ。「大きく吸った息を吐いて、静かに目線をあげげれば」と心の中で歌い、息を吐いて空を見上げると、「今までのどの瞬間も、無駄じゃなかった」と思えた。「そうだ夢に見ていた未来に、今私は立っているんだ。」と思う。

 Gブロックは9時15分スタート。スタートロスは14秒。Gブロック先頭にサブ4のペーサーが4~5名。サブ4にしてはちょっと速いペースで進む。私にとってはちょっと遅いが、混雑しているので集団の流れに沿って走る。4.5kmあたりでペーサーが速すぎることに気が付いたようで突然ペースが落ち大渋滞になり進めなくなったので、歩道に上がって集団を一気に追い越す。

 そのあとは予定通りおおむねキロ5分27秒、5km27分15秒のペースで走る。8kmあたりで横を走っている2名のランナーが、「昨日大田原を走ったんですか」と話しているのを聞き、これは私と同類だとその話に入り3名でしばらく話をする。その人は「連日で走るのは話題つくりのため。」「今年の大田原のTシャツは、普段使いもできるデザインだ。」「昨日は完走率が82%だった。」などと話す。
 私は、「大田原とつくばはセットだが、今年はつくばだけにした。」「3日連続で走ったこともある。」「2日目が大田原だと、すぐ後ろに収容バスがいてひやひやする。」などと話す。同じことを考えて実行する人がいるんだなと思う。

 5kmごとに目標タイムとの差を秒単位で確認するのは、はじめてサブ3.5で走れた2011年の大阪マラソン以来のこと。15kmで目標から13秒遅れなので、このままでもいいかと思ったが、もう少しタイム的に余裕を持ちたいことと、体感的にはもっと速くても行けそうだったので、ここからキロ5分20秒、5kmで26分40秒までペースアップして30kmまで行こうと思った。5km毎のラップタイムは走っている間は確認できないが、15kmから25kmまで平均すればぴったり5分20秒で走れていて、25kmから30kmで少し遅れたが30kmでタイムの貯金は1分13秒であった。
 さすがに少々きつくなってきたので、30kmからは当初予定のキロ5分27秒に戻す。35km通過時点ではタイムの貯金は1分24秒あり、3時間48分台でゴールできると思っていた。

 しかしフルマラソンはやはり甘くなく、38kmを過ぎてからペースが落ちてきてキロ5分30秒より遅くなってしまう。体に異変があったわけではなく、力が尽きそうになったのである。多少落ちても残り4kmをサブ4ペースのキロ5分40秒で走れば3時間50分は切れるのだからここで頑張るんだと自分に言い聞かせる。日比谷公園で市河麻由美さんにお尻を押してもらって走った時のことを思い出し、最小限の失速で踏ん張る。

 40km通過時点でタイムの余裕はまだ1分残っていてこれなら大丈夫だと安心し、最後の銀杏並木を気分よく走り切った。タイムは以下のとおりである。

                   5km毎 スプリット 目標との差
00-05km 5:36 5:25 5:33 5:22 5:46  27:44 0:27:43  +0:28
05-10km 5:25 5:20 5:26 5:28 5:25  27:03 0:54:47  +0:17
10-15km 5:20 5:20 5:36 5:22 5:31  27:11 1:21:58  +0:13
15-20km 5:20 5:16 5:27 5:18 5:21  26:42 1:48:40  -0:20
20-25km 5:21 5:20 5:24 5:17 5:18  26:41 2:15:21  -0:54
25-30km 5:20 5:29 5:29 5:19 5:20  26:56 2:42:17  -1:13
30-35km 5:16 5:31 5:22 5:26 5:28  27:05 3:09:21  -1:24
35-40km 5:28 5:28 5:27 5:37 5:38  27:37 3:36:59  -1:01
40-42.195km 5:32 5:40 1:01      12:15 3:49:12  -0:47
ネットタイム3時間49分14秒
(注:距離表示見落とし区間は、2kmのタイムを2分割して記載)

 つくばで目標を達成できた一番の理由は、目標を手を伸ばせは届く3時間50分に設定したことだと思う。これがサブ4では練習に身が入らなかっただろうし、ダニエルズさんのいう3時間45分ではきつすぎたと思う。スポーツメンタルでは、まず最初に目標の設定が重要だとのことで、その通りであった。


 ペースがキロ5分27秒という中途半端な数値なのでラップタイム表を作り、持って走ったこともよかった。実はキロ5分27秒で走りながらラップタイム表が読めるのか試してみたところ、字が小さくて読みにくかったので作り直した。さらに落とした時のことを考え、2枚作って左右のポケットに入れた。もちろん濡れてもいいようにパウチもした。ここまで念入りに準備すれば結果もついてくる。

 夏の間は酷暑が続きロング走がしにくかったこともあって、9月の最初にあるトラックレースまでは短い距離をスピードを出して走る練習が中心であった。これは実証はできないが、短い距離だけでなく、フルマラソンにも効果があったのではないかと思う。さらに5kmのレース結果で根拠のある適切な目標タイムを設定できたのもよかったと思う。

 タイムのことだけを考えて走るフルマラソンは、目標通り走ることができた時の達成感が大きく楽しい。しかしこのような準備はそう何度もできず、1シーズンに1回がいいところだ。次のフルマラソンは3週間後のみえ松阪。それまでにつくばの疲れは抜けきれないだろうし、コースも坂がきついようなので、伊勢神宮参拝を主目的とし、レースは5時間ぐらいかけてゆっくり走ろうと思っている。

(了)

参考データ

投稿者

バリー

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